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【小説】「UFOと親父⑥」

 話が脇道へ逸れてしまった。
 親父の話に戻そう。ともかく親父は、当初から僕の音楽活動に反対していた。

「グループサウンズなんてモンはヤクザ者のすることだ。まっとうな人間のするもんじゃない。」

 僕の必死の説得も空しく、親父は話を聞こうともしなかった。その親父が、こともあろうにCDデビューするとはどういう了見だろうか。しかも日本のシングルCDセールス記録を塗り替えるという快挙まで成し遂げて、だ。話が違うではないか。「音楽なんてヤクザのすること」じゃなかったのか?

 などという僕のやっかみも空しく、親父は次々と僕が欲しくても手に入れることができなかったものを手に入れていった。親父はMステに出演し、うたばんに出演し、トップランナーにも出演した。年末には紅白にも出演が決定しているらしい。親父の人気は留まることを知らず、あらゆるメディアから親父へのオファーが殺到した。先日など密かに憧れていたW・ライダーと対談していた。近頃ではUFOブームは全世界に広まっており、親父の人気もワールドワイドな規模になっていたのである。親父は、来年公開予定のスピルバーグ監督作品「UFO」にもチョイ役で出演しているらしい。

 それにしても、親父は本当に宇宙人と遭遇したのだろうか?到底信じられる話ではないが、ウソをついているとは思えなかった。
 親父は「ウソが大嫌い」なのである。僕は親父がウソをついたり、約束を破ったりしたところを一度も見たことがない。ウソに関して親父は家族にも非常に厳しかった。僕が仮病を使って中学校をズル休みした時など、真冬だというのに罰として上半身裸で2時間玄関前に立たされたものである。お陰で僕は本当に風邪を引いてしまい、40度の熱を出して1週間も学校を休む羽目になってしまったのだ。それでも親父は

「これで仮病ではなくなったな。」

 となにやら満足そうにしていた。親父はそういう男である。

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